読書メモ 月の立つ林で
月の立つ林で 青山美智子
普段の生活でも当たり前に存在しているすれ違い。
考えてみれば思いつくようなことでも、自分本位に物事を考えていると相手の立場を見失いがち。
立場というか視点というか。
小学生、あるいは中学ぐらいまでの「道徳」の授業でも散々言われてきている、相手を思いやる心を持ちましょう。という形骸化していた言葉。
作中に出てきた登場人物はいろいろな出来事を経験してその視点に気づいているが、僕らは日常の中ではそういった象徴的な出来事は起こりづらい。もしくは起こっても見落としがち。
だから他者の視点に立つことを忘れて、怒りも覚えるし、傷つきもする。
もちろん立場を理解しようとしても結局はわからない(共感できない)こともあるだろうが、悲しいのがすれ違うこと。
良かれと思って、、、の行動が裏目に出てしまうケース。
章立てになっていてそれぞれ語り手は違うが登場する人物、キーマンは共通していて、全体を通して大きな物語を展開するという僕の好きな形式の小説だった。
読者の立場は特別で俯瞰してみていられるはずなのに、読み進めるときはどうしても語りての視点に寄りがち。
つい物語の視点者を肯定してしまい、自分にとって本位ではない登場人物が出てくるとおもしろくないのだが、語り手自身がそれが身勝手な決めつけによるものだったりと気づいてくれるという信頼感があったから安心して読めた。
いつも以上に言語化がうまくいかないのは4章があまりにも自分に”刺さってしまった”からかもしれない。
読み始めてからずーっと「月の立つ」ってどういう意味だ?思っていたがちゃんと解決できたのがよかったが、わかる人は初めからわかっていたんだろうなと思うと自分は語彙を知らなすぎるな。
表紙が凹凸で浮かびあがるようになっていてかっこいいなと思って買っていた本。